健康経営の重要性は、すでに多くの企業で理解されるようになりました。
それでも現場では、「分かっているけれど進まない」「続かない」という課題が残っています。
このシリーズでは、健康経営を無理なく続けるために必要な考え方と仕組みを整理していきます。
健康経営に取り組んでいるのに、手応えがない理由
健康経営について、
- 健康施策は実施している
- 制度やルールも整えている
- 情報発信も一通り行っている
それでも、
- 職場の雰囲気が変わらない
- 定着率や満足度に変化が見えない
- 社員の反応が薄い
こうした違和感を抱えている企業は少なくありません。
このとき多くの場合、
「まだ取り組みが足りないのではないか」
と考えがちですが、問題は量の話ではありません。
健康経営は「施策」だけでは機能しない
健康経営という言葉から連想されやすいのは、
- 健康診断
- ストレスチェック
- 研修や制度整備
といった具体的な施策です。
もちろん、これらは欠かせません。
しかし、施策を増やしても職場が変わらないケースは多くあります。
その理由は、
社員がどう受け止めているかという視点が、
十分に考慮されていないからです。
エンゲージメントは「結果」ではなく「土台」
エンゲージメントとは、
- 会社に対する信頼感
- 自分が大切にされているという実感
- 安心して働けるという感覚
といった、社員の内側にある状態を指します。
この土台が整っていない状態では、
- 健康施策を実施しても
- 制度を整えても
社員にとっては
「会社の都合でやっていること」
として受け取られてしまいます。
健康経営とエンゲージメントが分断されると起きること
健康経営とエンゲージメントが切り離されている職場では、次のような状態が起こりがちです。
- 健康施策が「やらされ感」のある取り組みになる
- 制度が使われず、形だけ残る
- かえって会社への不信感が強まる
本来、社員のために行っているはずの健康経営が、
逆効果になってしまうケースもあります。
これは、
健康経営が「人の話」ではなく「作業」になってしまっている状態とも言えます。
エンゲージメントがある職場で健康経営が機能する理由
一方で、エンゲージメントが一定レベルで保たれている職場では、
- 健康施策の意図が伝わりやすい
- 制度が自然に利用される
- 社員同士の声掛けや支え合いが生まれる
といった変化が見られます。
これは、
社員が
「会社は自分たちのことを考えている」
と感じられているからです。
健康経営は、
信頼関係の上に乗って初めて機能する取り組み
だと言えます。
中小企業こそ、両者を切り離してはいけない
中小企業では、
- 経営層との距離が近い
- 職場の雰囲気が業務に直結する
- 一人ひとりの影響が大きい
という特徴があります。
そのため、健康経営とエンゲージメントを切り離してしまうと、その影響はすぐに職場全体に広がります。
逆に言えば、両者をセットで考えることで、効果も出やすいということでもあります。
健康経営は「伝わり方」まで含めて設計する
健康経営を機能させるためには、
- 何をやるか
だけでなく - どう伝わるか
まで含めて考える必要があります。
- 情報が一部の人にしか届かない
- 目的が共有されていない
- 社員が関わる余地がない
こうした状態では、エンゲージメントは育ちません。
健康経営とエンゲージメントをつなぐ視点
両者を切り離さないために重要なのは、
- 社員が状況を知れる
- 必要な情報にいつでも触れられる
- 学びや気づきが日常の中にある
といった、
「関係性が途切れない状態」をつくることです。
これは、
気合や声掛けだけで実現できるものではなく、仕組みとして整えていく必要があります。
健康経営を「分かっている」で止めず、現場で無理なく回る形にしたい方へ。
次回予告
次回は、
なぜ健康経営は「担当者任せ」になりやすいのかをテーマに、
エンゲージメントの視点も踏まえながら、その構造的な原因を整理していきます。
この記事を最初から
- 健康経営は「意識の高い会社」の話ではありません(最初から読む)
- なぜ中小企業ほど、健康経営が「続かない」のか
- 健康経営とエンゲージメントは、なぜ切り離せないのか
- 健康経営を「担当者任せ」にすると、必ず行き詰まります
- 健康経営DXとは「IT化」ではありません
- 健康経営を「仕組みとして」始めたい会社へ


