健康経営の重要性は、すでに多くの企業で理解されるようになりました。
それでも現場では、「分かっているけれど進まない」「続かない」という課題が残っています。
このシリーズでは、健康経営を無理なく続けるために必要な考え方と仕組みを整理していきます。
健康経営は、なぜ「担当者任せ」になりやすいのか
健康経営に取り組もうとしたとき、多くの中小企業で最初に行われるのが、
- 担当者を決める
- 総務や人事に任せる
という対応です。
一見すると自然な流れですが、ここに大きな落とし穴があります。
それは、健康経営が「会社の取り組み」ではなく、「個人の仕事」になってしまうことです。
「担当者を決めた瞬間」に起きていること
担当者が決まった直後から、現場では次のような変化が起きます。
- 経営層は状況を把握しなくなる
- 他の社員は「自分には関係ない」と感じる
- 担当者だけが情報と作業を抱え込む
結果として、
- 忙しいと止まる
- 優先順位が下がる
- 担当者が疲弊する
という状態に陥ります。
これは、担当者の能力や意欲の問題ではありません。
構造の問題です。
中小企業ほど「属人化」の影響が大きい
中小企業では、
- 一人が担う役割が多い
- 業務の引き継ぎが簡単ではない
- 人の入れ替わりの影響が大きい
という特徴があります。
そのため、
- 担当者が異動・退職すると止まる
- 担当者が変わるたびにゼロからやり直し
- 結局、誰も全体像を把握していない
といった状況が起こりやすくなります。
健康経営を「人に紐づく取り組み」としてしまうと、中小企業では継続が難しくなります。
担当者任せにすると、社員の意識も離れていく
健康経営が担当者任せになると、
社員側にも次のような意識が生まれます。
- 「何かやっているらしいけど、よく分からない」
- 「自分が関わる話ではない」
- 「会社の形式的な取り組みだろう」
この状態では、
- 健康施策が利用されない
- 制度が形だけ残る
- エンゲージメントも高まらない
という結果につながります。
健康経営は「役割分担」ではなく「共有」が必要
ここで重要なのは、「担当者をなくす」ことではありません。
必要なのは、
- 担当者はいても
- 情報や状況が共有されている
- 誰が見ても分かる状態になっている
という設計です。
つまり、
- 実務は担当者
- 方向性は経営
- 関心と参加は社員
という形で、
役割は分かれていても、取り組みは共有されている状態
をつくることが重要です。
「会社の取り組み」に戻すために必要な視点
健康経営を担当者任せにしないためには、
- 情報が一か所にまとまっている
- 誰でも現状を確認できる
- 引き継ぎが前提になっている
といった状態が必要になります。
これは、個人の努力や気合では実現できません。
最初から「人が変わっても回る前提」で設計すること
が求められます。
担当者が頑張らなくても回る仕組みへ
健康経営が続いている企業では、
- 担当者が全部抱え込まない
- 会社として進捗が見える
- 社員も自分ごととして関われる
という共通点があります。
健康経営は、
「誰がやるか」よりも「どう回るか」を先に考える取り組みです。
健康経営が続かない原因は、意識ではなく仕組みにあります。
担当者任せにしないための土台として、
次回予告
次回は、
健康経営DXとは何かをテーマに、
「IT化」と誤解されがちなDXの本質と、健康経営を回すための考え方を整理します。
この記事を最初から
- 健康経営は「意識の高い会社」の話ではありません(最初から読む)
- なぜ中小企業ほど、健康経営が「続かない」のか
- 健康経営とエンゲージメントは、なぜ切り離せないのか
- 健康経営を「担当者任せ」にすると、必ず行き詰まります
- 健康経営DXとは「IT化」ではありません
- 健康経営を「仕組みとして」始めたい会社へ


